2016年は○○の年ー『格差固定』三浦展
楽しくない読書体験
まだ1月の半ばだというのに、2016年は落ち着かない年になりそうな雰囲気である。(おもに芸能ニュース関係だけれども)
早々に予想してしまうが、今年はきっと後から思い返すとあそこが変わり目だったな、という年になるような気がする。
消費税10%の実施も2017年4月に決定し、今度こそ延期できないだろうと言われているが、安部首相は衆参ダブル選という札を手にしているので*1増税延期をすることで選挙で勝利を治め、悲願の憲法改正を実現させるべく長期政権を目論見ていることは当然予想できる。
ともあれ政治の複雑なからまり具合なんて分かりにくいし、ニュースを読んでも、一瞬分かったような、ますますこんがらがって検討もつかないような。
なので少し政治そのものから離れてみる。
この三浦展氏*2の本では「下流社会」という本の方がよく知られているかもしれない。彼がいや~な響きのある下流社会という言葉を作った本人だ。
言葉ができたから新たな階層が発見されたとも言えるし、ある集団にぴったりのネーミングをしたとも言える。ともかく11年前に出版された本は今を予測していたということだ。データをこれでもかと使った内容は確かにヒザを打つ部分があるだが、そのデータから導き出される本論は決して納得がいくものではなく、著者のイメージというか単なる仮説であることが指摘されている。ただ着眼点としては優れている部分もあるので、三浦展氏は評価が多少難しい本を書く人物と言えるだろう。
「格差固定」の本の中では、選挙の投票において年収1000万円以上の人は全体の32%が自民党を支持し、年収100万円未満の人は、38%が無投票と書かれている。これはつまり選挙をすればそれだけ富裕層に都合の良い政策が増えていくということになるわけだ。そのせいなのか、自民党投票者は格差が拡大しているとは感じてはいない人が全体の中で13%もいる。投票にいく層は投票にいかない層のことが見えないとでもいったら良いのか、格差に気づき難いのかもしれない。
その他正社員と公務員の各種費用比較など(当然公務員が上回っている)、公務員という新しい安定した階層が存在していることが分かった。
この本は私が最近読んだ中ではデータそのものは豊富なのだが、ぶっちぎりに読書の楽しさがない本だと思う。明るい未来を予測しろという無理難題を突きつけたいわけでもないのだが、ひたすらデータを羅列しているのみでは本を読んで知らなかった世界を知るという喜びが少々薄くなってしまう。
せめてこれくらいの読者に対する思いやり(?)というか、データを読み解く面白さが欲しいなと思ってしまったよ。
今年の年末に、私は2016年をどんな年だったと定義するのだろう。全く予想もつかない。このブログのタイトルのように、多少なりともロマンチックなお知らせがあるといいのだけれども。(でもロマンチックなお知らせって???我ながら変なタイトルだ)