梅と私と和歌ー橋本治による古典解説

ところでこの実朝の詠んだ和歌で、 わが宿の梅の初花咲きにけり 待つ鶯はなどか来鳴きぬ *私の家では最初の梅の花が咲いた。鶯を待っているんだけれど、どうしてだろう、来て鳴かないんだ という歌があります。印象としては「寂しい歌」で梅は咲いたけれども、どこかしんとした情景ですよね。私にはこの人の詠む、どこか…