入りやすい入り口から入るのがオススメという話
四捨五入すれば50という年になった身として思うこと、それはなるべく「頑張る」ということから遠くにいたいという気持ちでいっぱいなことだ。新学期だから新たな気持ちとかは全く湧いてこないし、新しいことやしんどいことなんかはできるだけやりたくない。そんな本人の気持ちとはうらはらに、前回の記事では今年度の目標を掲げざるを得ない現状を書いていたりする。
まぁこれは「数年のうちにしなくてはいけないこと」だったので、仕方がないとあきらめているのが本当のところだけれど。
基本的に私の性格は、頑張りやでも前向きでもない。人見知りかつできるだけ最短距離で楽がしたい派。だから何か難しいそうなことを知りたいと思った時には、図書館で「マンガでわかる○○」みたいなシリーズを借りては読んでいる。このマンガでナントカというジャンルは案外充実しているのだが、それにはけっこう納得できる理由が隠されているらしい。
京都精華大学は日本で初めてのマンガ学部を創設し、現代の若者たちにマンガの描き方を教えている。去年退任してしまわれたのだが、学長がマンガ家の竹宮恵子氏でマンガ家の育成やマンガビジネスに非常に力を注いでいるのだ。もちろんこの大学を卒業したからといって皆がマンガ家になれるというわけでもないのだけれど、「マンガで食べていく」つまりマネジメントという視点があることには感心した。
「竹と樹のマンガ文化論」という本で、こういったマンガ界の現状について竹宮氏は内田樹氏と対談している。
マンガ家としての苦悩や歓びだけではなく、後進の育成について体系的に捉えていることには驚かされた。前述した「マンガでわかる○○」シリーズは、新進のマンガ家入門になっているそうだ。マンガ家たちは、こうした入門書を描くことで読む人のために描く感覚が掴めるようになるらしい。確かにマンガ学科を出たからといってマンガ家で食べていけるという保障などないのだから、実践編として「マンガでわかる○○」シリーズはプロとしてのチャンスと言えるだろう。ここ数年本屋に「マンガでわかる○○」シリーズが当たり前のように並べられているのは、こうした背景があったということなのだ。
しかし竹宮氏がマンガを文化として捉え、後進を育てることを自分に課していることには驚いた。竹宮氏はマンガ学科だからこそ一般教養を含むいろいろな知識を学ぶべきという考え方を持ち、大学のカリキュラムに工夫をしていることは素晴らしいことだと思う。
以下私が読んだ「まんがで○○」シリーズ。
マンガでわかる! マッキンゼー式ロジカルシンキング (まんがでわかるシリーズ)
- 作者: 赤羽雄二,大舞キリコ,星井博文
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2015/07/25
- メディア: 単行本
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まんがで身につく ランチェスター戦略 (Business ComicSeries)
- 作者: 名和田竜,深夜ジュン
- 出版社/メーカー: あさ出版
- 発売日: 2015/06/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ランチャスター戦略やゲーム理論は名前だけ知っていたのだけれど、活字で読むと目がチカチカしてくるので。
あとは統計学関係。全く基礎がないのだけれど、興味だけはある。でもこれだけでは全然入り口にも届かないかな。活字で読もうとしては挫折してしまうのが残念。
一番最近読んだのがこの本だけれど、絵が可愛らしすぎて私としてはいまいち。古典に関しても興味はありつつ、入り口でモタモタしている状態だ。
まんがで読む 万葉集・古今和歌集・新古今和歌集 (学研まんが日本の古典)
- 作者: 渡まかな,鎌尾こんぶ,上地優歩,込由野しほ,グリコ,吉野朋美
- 出版社/メーカー: 学研プラス
- 発売日: 2015/12/01
- メディア: 単行本
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マンガよりこっちの方が面白かった。
アラフォーやアラフィフの年齢で活き活きとアクティブな人は本当に尊敬するけれど、根が適当なところがあるせいなのか自分が頑張ろうとか全く思わない。でもやたらにものごとの仕組みを知りたいという困った性質を持っているので、なんで最近「マンガでわかる○○」シリーズが増えたのかが不思議で仕方がなかった。これは需要(さくっと要点だけ理解したい読者)と供給(売れやすいマンガを出版したい編集者)が上手く成り立っているということなんだろうな。(出版不況は年々厳しくなる一方だと聞くし)
ちなみにこんなのもあるのは、皮肉と言えばいいのだろうか?面白かったけれど...。