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ところでロマンチックを知らせる回覧板は、いつごろ回って来るのか

放送大学に関すること、及び読書その他についてをゆるゆると語る

彼が王国に君臨することと、その向こう側との距離の関係について

ニュース マンガ

孤独は人の心を追い詰める

www.asahi.com

京都市の50代、いわゆる“ごみ屋敷”と呼ばれるアパートに住む男性が、全国で始めて行政代執行によってごみを強制撤去されたというニュースです。

これを読んで私がふと連想したのが、このマンガです。

ブルームーン (1)

ブルームーン (1)

 

 話自体もメタファー多いので、かなりはしょります。出生届けを出されないまま成長する一卵双生児の話なんですけれど、今回書きたいのは彼らのことではなくて、彼らの父親のことです。

正確に言うならば、「彼らの父親に孤独な心をいいようにもてあそばれた男性」のことです。マンガの話ではありますが、自分の子どもの出生届を面倒くさがって出さないような男というものは、とにかく子どものように無邪気で悪魔のようにズル賢い面を持つ、でもそれだけに抗いがたい魅力を持った美青年だったりします。(まぁ少女マンガということで)そしてそんな魅力的な彼のいうがままにものやお金を渡してしまう男というのが出てきます。

10年以上の時を経て、とうに死んでしまった美青年によく似た面差しを持つ、でも違う人間である双子の一人に、その哀れな男は、彼らの父親が自分のところに来て何かねだるのを断ろうとすると、オマエがどんなに孤独を抱えているのかを俺は知っている、そしてその孤独を理解できるのは自分しかいないということを呪文のよう優しく唱えては金品を持っていくということが繰り返されていたのだ、と話します。その孤独な男はだまされていると知りながら、その甘い呪文を唱える悪魔のような魅力的な男の誘惑を振り切れない。そんな苦い話でした。

私は京都の男性に対して思ったことは、おそらく彼も孤独であったのだろうと。けれどもそこで彼のとった手段は、自分の王国を自分の周りに作り上げることであり、そうしてなんとか自分の孤独を飼いならしたのではないのかな?と思ったりします。彼は王国に君臨する君主になることによって、自分の周りにごみという城壁を構築した。それは彼を守るものだから当然、たとえ他の人にどう見えようともごみではないのです。けれどその理屈が“”で通じないことが彼にもどこかで分かってはいるのでしょう。

インタビューに対しての彼の口調は、(君主としての)抗議の色合い帯びてはいたものの、激昂しているという感じではありませんでした。

どうやら彼の王国には過激派は存在していないようですね。

おわりに

マンガでは孤独な男のその孤独との折り合いのつけ方は語られていませんでした。でも京都の男性の心情を知るのは、まだこれからの話になるのです。現実世界にはどこにも彼の話を聞く双子はいません。強制撤去という行政の判断が、彼自身、現実との距離を上手く調節できるための手助けになるきっかけに繋がることを祈ります。